Movie Review : 密偵
スリリングでミステリアス、そして哀しい映画。決して反日映画にあらず。
この映画はとても哀しくて見ごたえのある映画だった。
日本統治下の朝鮮が垣間見ることができる。
一番哀しいのは、同じ民族なのに立場が違ってしまうこと。
自己保身のために日本側につく人とつかない人がいる。
他国に占領されるということは、こういうことなのだ
逆の立場なら、日本人だって同じようにレジスタンス活動をしただろう
公開当時かなり反日映画というレビューが目に付いたが、
これを反日映画というなら、日本人の批判精神は弱すぎる
ドイツは、敗戦後どれだけ自国がしたことと向き合ってきたか
日本は、敗戦国として占領されて情報操作されているうちに
自国がしたこととあまり向き合ってこなかったんじゃないかと思う。
レジスタンスのリーダー、コンユが決意して言うシーンに胸を打たれた。
「自分たちが全員死んだとしても
君が生き残って荷物を守ってくれ。
そのために裁判では自分を守れ。
自分たちのことは知らないと言うんだ。
一人でも生き残れば自分たちの死は無駄にはならない」
真摯な目で懇願されたら断れる人はあまりいないだろう。
本当は断らないと自分の命さえ危ない。
主人公は日本の警察で仕事をしながらも、どうしても同胞のレジスタンスの願いを
断りきることができない。
人としての純粋さが、レジスタンス達から先付けの信用をされてしまうことになる。
ソンガンホは、品のあるいい役者さんだと思う。
コンユは若くて熱意のあるレジスタンスを演じていて印象に残った。
けど、ほっぺたがポッチャリとしていて、食糧事情が良くない時代の人間という感じが
ないな、と思って見てしまった。そこまで要求するのも酷だが。
全体として質の高いいい映画だと思った。