Movie Review : ほえる犬は噛まない
退屈な日常に、ジャズのリズムでアクセントを!
ポン・ジュノ監督が好きなので観た。
マンションの管理事務所で経理の仕事をしている冴えない女の子と、大学授になれる日を夢見ている高学歴の冴えないおじさんの人生がほんの一瞬交わりあうお話。
女の子は、退屈な毎日を送りながら、いつか自分のしたことが皆に賞賛され、ヒーローみたいに必要とされるような妄想を日々しながら、同じようにパッとしない親友とぼんやりテレビをみたりお菓子を食べたり。
おじさんは、正社員である妊娠中の妻に生活を支えてもらっており、大学院で助手をしながら片身の狭い思いをしている。上司に袖の下を送って教授になった同僚を羨みつつ、そんなお金も無いことでどこか人生を諦めている。
そんなおじさんをイラつかせるのが、マンションで買うのを禁じられている犬の声。
誰かが買っているのだ。うるさすぎる!その犬をどうしてやろうか?
そんな葛藤がおじさんに芽生え始め、その葛藤がジャズの怪しいリズムでテンポよく描かれる。
望みを手に入れたあと、どれだけ幸せになったか?
それは実際に映画をみて確認してほしい。
望みを手に入れなくても、森を歩いてまぶしい光をあびて幸せそうな人もいる。
人生の不思議。
味わい深い映画です。