Movie Review : パターソン
何気ない日常こそが文学でありインスピレーションの源である
とても素敵な映画だった。
特別なことは何も起こらない、特別なことは何もしない。
何かをしながら気楽にみるのがちょうどよい映画ではないか。
バス運転手の主人公は、愛する人と生活をし、仕事をし、仕事終わりにバーに
飲みにいく、そんな毎日。
家には愛する女性がいて、ちょっと悪さをする犬もいる。
特別心が躍るわけではないけれども、映画のパッケージのようにいつも安らげる寝床がある。
幸せを感じるためには、金も名誉も、大きな家も車も特にいらないよね?
そんなものを買うために、長時間労働して創造性を枯渇させてしまい、詩も書けない人生とどっちがいいのさ?
そんなことを問われているような気がした。
特になにも無いけれど、淡々と生きているなかで自分の中から湧き出してくる言葉たちをひろい、
毎日ノートに詩を書きつける主人公。
いろいろな隙間時間をみつけては、精神的に一人になれる時間をつくって充実した創作活動に励んでいる。
そして、同じように詩人の少女や大人たちに出会う。
全てを失ってしまったように見えたときでも、どこからかどうしても必要な「ノート」が与えられる。
彼が聞きたい言葉を言ってくれる人がいる。
そんなセレンディピティの数々。
松下幸之助の名言にある、
「たとえ平凡で小さなことでも、
それを自分なりに深く噛みしめ味わえば
大きな体験に匹敵します。」
これを体現している作品。