Movie Review : 背徳の王宮

見応えあり。朝鮮の人々の君主への反発の根強さはこの辺りから?

https://amzn.to/2kfPC85

 

15世紀末から16世紀頭に統治した李氏朝鮮の10代目国王 燕山君(ヨンサングン)
の時代。日本では室町時代末期でちょうど戦国時代に差し掛かり国中で侍が戦を
していたころ。
当時の朝鮮での君主は絶大な権力をもち、その周囲の人間は権力争いに明け暮れる。
国中から君主の遊興のために、若く美しい女性たち強制的に集められる。
女性たちライバル関係やその女性たちを推す貴族たちの権力争いと君主による粛清が
映画のメインテーマ。
ライバル争いとはいっても、その争いはいつも命がけ。負けたら処刑!という世界。
見どころは3つ。

1つ目は、王宮や街中など、当時の状況はどれだけ再現されているかはわからないが、王宮はとても
美しく壮大で、街中は貧しい人々や生き生きと働く町人など映像の見所がたくさんある。

見どころ2は、ストーリーが、独特の太鼓の音に合わせて歌い手が語るという韓国の伝統芸能
「パンソリ」に合わせて、ドラマチックに進んでいく。このパンソリの調子は見終わったあとも
余韻として残るくらい印象的な節回しだった。面白い。
パンソリは、2008年にユネスコ世界文化遺産に登録されたもよう。

見どころ3つ目は、王の女になるためだけに行われる女性の性教育
女性をモノとして扱っていた時代のことだけど、興味深い内容だった。
もちろん現代は、女性としてもこんなの受け入れられませんが・・

これは他の人の意見も聞きたいところだけど、第二次大戦後、朝鮮が自主を取り戻した時、
不在となってした李氏を呼び戻して再び君主として戴こうとはならなかった原因の1つが
こうした君主の悪政があって、国民に悪感情が蔓延していたからではないか。
日本の天皇制とは、比較できないが、武士の世の中になって以降、天皇家は実際的な権力を
持たなかったが為に、悪政をする余地もなく、だから国民から悪感情も抱かれることもなく
現在も存在することが出来ているのではないか。
日本だって、時の権力者はひどいことをしている。
織田信長なんぞ、鉄砲のための火薬を1樽、ポルトガル人から手に入れるために女性50人を
奴隷として交換している。人の人権も何もあったもんじゃなかった時代の話だ。
だから朝鮮王朝だけがひどかったのではなく、どこもひどかった。庶民は皆苦しんでいた。

こういう歴史の事実を正直にオブラートに包まず映画に描ける韓国映画ってすごいと思う。
世界中にファンがいるもの納得だ。

 

https://amzn.to/2kfPC85