Movie Review : リーガルマインド 裏切りの法廷
あるべき司法制度って?
優秀な女性検事が、無実の人を冤罪で10年以上服役させてしまい弁護士になる。
アルコール依存症となって生活が荒れ、娘の親権を失ってしまう。
法廷で怒鳴り散らした罰でプロボノ(社会奉仕活動)の一環として引き受けた殺人事件の容疑者の女性の弁護を引き受ける。
ここまでがさらっと映画の冒頭で描かれるが、すでに司法制度を信じる気になれない司法関係者の心理がよく理解できる。
そして、もし私が弁護士なり検事ならやってられないと思うはずだ。
裁判の時に、ちゃんとした証拠があって、その証拠は不当に集められたものではなければ、その人が犯人だと普通は思うだろう。
凶悪犯に罰を与えるために、正義感に燃えてその容疑者の有罪を立証するだろう。
彼女は優秀だからこそ、それができた。
そして犯人を無事に服役させたのに、後でその人が犯人でなかったという確たる証拠が出てきてしまう・・・。
「私が今まで正しいと思っていたことって・・・」
「何のためにやってきたのか・・・」
茫然自失となってしまう。
そもそも、司法システムが、機能しないのだ。
冤罪で逮捕されて投獄されている人がいっぱいいる。無実の罪で死刑になった人もいっぱいいる。
日本なんかもっとひどい。起訴されたら99%が有罪だ。間違って起訴されることなんかいくらでもあるはずなのに、ほとんどが有罪って、普通おかしくないか?
映画の主人公はアルコール中毒になってしまい法廷で怒鳴り散らしてしまい、その後娘の親権を失った。
普通の人間ならまともな精神でいられないんだろうと思わざるを得ない。
もし私なら、さっさと諦めて仕事をやめてしまうだろう。
勉強にかかったお金と時間がもったいないと思うけど、今度の私の人生には損失はないと考えて諦めるだろう。
私はこれからの人生を無駄にしないために、未来の損失を最低限にするために、司法の仕事に関わらないことをするだろう。
皆がそうすべきとは思わない。
仕事を辞められない事情もあるだろうし、理想を捨てずに仕事を続ける人もいるだろう。
日本なら「冤罪弁護士」といわれている今村核さんがいる。すごい弁護士だ。
こんな弁護士が日本にいてくれて、本当にありがたいと思う。
きっと、今村さんだって「誰かがやらねばなるまい」という思いでやっているのだろう。これはこれで本当に厳しい道だ。
映画をみれば、人を裁くことって、本当に難しいと思う。
ていうか、無理なんじゃないのか?
被害者のために、社会のために、犯人を捕まえて罰する、とうことが必要なのは分かる。
でも、どうやったら間違わず、正しくそれができるのか?
結局答えが出ないまま映画は終わってしまった。