Book Review : 無病法
歴史的に最も有名な長寿者で名門貴族のルイジ・コルナロが書いた病気にならない方法
ルイジ・コルナロは、ルネサンス時代に国家元首を出すほどの名門貴族の出身。
シェイクスピアが生まれた頃に亡くなった人である。
自身は若い時から贅沢を繰り返し30代で糖尿病になり、40代で死の淵をさまよう程重症化して医師から余命宣告を受けた。
「極小食をしなければもはや助かる見込みはない」と言われ、そこから彼の「食を節する」生活が始まり結局彼は102歳まで生きた。
彼が晩年に言った言葉が残っており、この言葉に私は胸を打たれた。
「私はこれまで老年というものがこれほど素晴らしいものとは知らなかった」
これが、100歳を過ぎた彼の言葉である。
彼は老年を過ぎて、これほどまでに素晴らしいと思える程の人生を謳歌していたのだ。
これを人生の終盤で言うことができれば、この人生は成功だったと言えるだろうと思えるだろう。
100年生きるという我々世代にとっては、これは朗報ではないか、私は読みながら嬉しくなってきた。
102歳まで生きたとしても、頭がぼんやりしていたり、足腰が弱くなってベッドに寝たきりになったり、チューブから液体の栄養を注入されたりしていたら、生きていてもつまらないだろう。
彼の頭はしっかりとして著述を続け、庭を設計し、大きな声で話したりと活発にしていたという。
そして死ぬときは、お昼寝するかのように穏やかに眠りについたというのだ。
長生きをそのもの目的とするのではなく、どのように長生きするかの方が大事だ。
そういう意味でも、彼の言葉には実践者としての重みがある。
「およそ中年以降の者にとって、自分の将来の健康に少しの不安もないということほど素晴らしいことはない」
そう、彼は健康に関して、何の心配も無かったようなのだ。
「食を節する」
食を節するとは、どういうことなのか。それこそが無病法の真髄である。
具体的にどうすればそのような人生が送れるのか、それはぜひこの本を読んでみて欲しい。
薄い本なのですぐに読めると思う。
本書の半分くらいは訳者の解説となっているが、本書の本質を損なうことがない解説となっており、貝原益軒の「養生訓」の引用もあって日本にもこうした流行とは関係のない本質的な健康指南の書がもともとあったのだと気付かされる。
貝原益軒 『養生訓」』