Movie Review : スリー・ビルボード
テーマは「許し」なのでは?
娘を惨殺され犯人が捕まらないことに不満を抱く母親が、有り金
をはたき3枚の巨大な広告看板を買い取って警察に喧嘩を売り
田舎の小さな街では大問題に。
母親を演じたフランシス・マクドーマンの「怒りの表情」
がすごい!娘を亡くしたことに悲しみ、絶望し、怒り、恨み、
あらゆる感情を含んだ凄みのある表情からストーリーが始まる。
この最初の顔が見どころだと思う。
ぜひ見て欲しい。
この母親は何も語るわけではないが、この表情だけで全てを語る。
悪徳警官ディクソンは本当に最初からずっと酷い人間で、思いつく
であろうあらゆる酷いことをやってのけるクソ野郎(すみません)
である。
この警官と母親とのバトルは行くべきところまで行き着いてしまい、
最悪の結果に。
これで単純に終わらないのがこの話の面白いところで、
それぞれに予想外の事態が起こる。
その予想外の事態によって、悪人が善人に見えたり
善人だと思っていた人が、もしかして悪人のはこの人?
とも思えてくる。
悪いといわれることをした人が、ずっと悪人な訳ではないし、
善人がずっと善人でいられる訳でもない。
これって誰でも皆経験することではないだろうか?
そして、当初の悪人と善人がタッグを組み復讐に向かったと
思いきや・・・?
ここで人っていいな、世の中も捨てたもんじゃないな、
とホッコリしてしまった単純な私。
愛する人を失った悲しみは決して癒える訳ではないが、その喪失感に
変わる新しい感情が生まれていることも確かなのだろう。