Movie Review : 15時17分、パリ行き
何の変哲もないに日常生活があるからこそ、普通の人間が偉大なヒーローとなった
アムステルダムからパリ行きの高速列車の中で、2015年に実際に起こったテロ事件。
幼馴染である3人のアメリカ人旅行者が身を挺して500名以上の乗客を守ったという実際にあった話を本人達が演じている。
この功績を称えて、フランス大統領より最高勲章である「レジオンドヌール勲章」が与えられた。
映画というよりドキュメンタリータッチ。
作りこんだリアリティを追求したのではなく、主人公たちの日常をリアルに写し取ったという映画だと思う。
その日常の延長線上にこの英雄的行為がある。
それを伝えたかったのでは?
映画では、主人公のリアルな日常生活がたくさん描かれる。
主人公は皆それぞれ、事情をかかえている。
学校になじめず、軍隊生活でも脱落、悩みの多い日々。
悩みや不満を抱えながらもなんとか生きている。
「人を助けたい」「人の役に立ちたい」と思いながらもなかなか思うようにいかない。
我々と同じである。
普通の若者と同じように将来に対する不安があり、悩みがある。
よく映画で描かれるようなドラマチックな出来事はない。
これが日常だからだ。
この部分は映画の中で時間的にも結構長くて他の人のレビューでは不評だったようだが、私はこの部分こそが大事だったと思っている。
多くの人達をテロリストから守ったという偉業は、ここで長々と描かれる普通の日常があるからこその出来事である。
また違う生き方をしていたら違った結果になったはず。
テロの現場に居合わせたのは、偶然ではあるけれども、ただ単なる偶然ではなく、
彼らのそこに至るまでのストーリーこそ大事なのである。
それをこの映画で一番伝えたかったのではないか。
だから監督は、主人公たちの日常生活を丹念に描く必要があったのだと思う。
誰にでも必ず出来る事があって、人の役に立つことが出来る。
だから、誰の役に立つことが出来ないと悩むばかりではなく、もし、誰かの役に立てるそんな瞬間が来たときには勇気を出して必ず立ち上がろう!
だから諦めずに腐らずに日常を過ごそう!
そんなエールをもらった様な気持ちになれた。