Movie Review : 私はダニエル・ブレイク
一人の人間の誇りをかけた闘い
ニュースで生活保護費を不正受給したニュースばかり流れるせいか
ズルをしている人がたくさんいるように見える。
もちろんそういう人もたくさんいるとは思うし、良い事だとは思っていない。
しかし、世の中はまともに生活している人が大多数だ。
まじめに働き、税金をちゃんと払ってまっとうに生活している。
悪事を働く人が圧倒的に少数派だから目立つから、ニュースになるのだ。
だけど、ニュースを見ている立場としては、1つでもそういうニュースを目にすると、「まっとうに働いているのがばかばかしい!」とか言ってみたりする。
しかし、もう一度言うが、大多数は真面目に働きまっとうに生きているのだ。
その大多数の1人が、この映画の主人公、ダニエル・ブレイクだ。
真面目に働いていたって、病気や怪我で働けない時ってある、長い人生必ずそういう時がくる。
だいたい、普通の人が生活保護を受給している人を「怠けている人」と見るだろう。
そういう人もいるだろうが、そうでない人も多い。それでも生活保護費を出した方が最終的にコストが下がって全体にメリットがあるからそういう制度が存在するのだ。それなのに生活保護費」をもらってない人は「真面目で賢い人」もらっている人は「怠惰で愚かな人」という風に勝手に決め付けていないだろうか?
そういう風潮と社会システムに対して、ダニエル・ブレイクはもの申す。
「私は、依頼人でも顧客でもユーザーでもない
怠け者でもたかり屋でも物乞いでも泥棒でもない
私はきちんと税金を払ってきた真っ当な市民だ
誇りを持ってそうしてきた
身分の高い者には媚びないが、弱い者には手を貸す
私は、ダニエル・ブレイク。人間だ。犬ではない
私は施しを求めているのではない。
当然の権利を要求しているのだ。
もっと敬意を払って接してくれ。
私は、ダニエル・ブレイク。
1人の市民だ。それ以上でも、それ以下でもない」
どんなに真面目に生きていたって、誰でもこれからはAIに容赦なく仕事を持っていかれるのだ。ダニエル・ブレイクはまさに、自分の姿。
そういう自覚をもっているか?自分に関係ないと言えるか?