Movie Review : 沈黙 サイレンス
過去の思想、信仰に囚われて現在「そこにある」幸せをないがしろにするのは人の常
現在の感覚で判断すべきものではないと思うが、描かれる多くの拷問は酷い。
だが、全てが野蛮で人権もへったくれもあったもんじゃない時代。
だから拷問だけでなく他も酷いもんだった。
織田信長は、鉄砲の火薬1樽と交換に日本人女性50人を奴隷としてポルトガルに送った。その女性たちは当然売られて奴隷になったと思われる。
本当に酷い時代だった。ある意味今も昔もずっと酷いのかもしれないが。
映画を見ながらどうしても払拭できないこの疑問。
人を幸せにするのが宗教ではないのか?
他国にわざわざ布教しに行って苦しむ必要があるのか?
教会の上層部の思惑と、現場の宣教師との間には大きな隔たりがあると思う。
他国を殖民地化する政策の一環として布教をする上層部
貧しくて未開の人々を、豊かで開けた自分達が救ってあげるという上から目線だが純粋な気持ちで活動している宣教師も現場にはいただろう。
島原の村民は救いを求めたかっただけ、他の選択肢があれば他を信仰したのでは?
信仰という選択肢以外に、他の娯楽や気休めがあればまた違った?
殿様の、「お前の信仰は、民を幸せにしたか?」という問いかけは正しい。
過去の思想、信仰にとらわれて、現在「そこにある」幸せをないがしろにするのは、おろかな人の常である。
私も、宗教とは関係ないところでよくこの失敗をして、みずから不幸を招いてしまうことがよくある。
そのことを宗教の切り口から表現したのが、この映画ではないか?
原作を読んでいないが読んだらこの疑問は解決するのだろうか?
ぜひ読んでみたいと思った。